2021年8月にくろがね線の戸畑第一操車場を訪ねると、新型の貨車を見ることができた。
全長およそ23m前後の台枠のうえに羊羹型のカバーが乗っており、これまでに弊ブログで紹介した熱塊カバー台車と外観はそっくりである。台枠中央に記載された記号がZ2であることから、従来型熱塊カバー台車Z1の増備車と思われる。重量物輸送のため4軸複式ボギー台車を備えるが、その形状は従来の90t積み台車とは異なっており、以前紹介したタイプの溶鋼注入台車が履いていた台車の流用ではないかと思われる。台枠に表記された情報は以下のとおりである。
- 形 式 : 90B-5
- 記号番号: カタ9758
- 編成番号: Z2
- 自 重 : 97.9t
- 荷 重 : 90t
- 車軸配置: 2+2-2+2
- 製造年 : 2019年8月
- 製造者 : 日鉄物流
形式は戸畑地区配置車両の命名規則に則り、90t積台車の第5ロットであることを示している。製造銘板は、台枠端に「日鉄物流」の高級感漂う楕円形の銘板が付いている。登場時期から考えて、戸畑地区に新設した連続鋳造設備(ブルーム連鋳)からの半製品発送に対応するため増備されたものと思われる。2020年7月をもって小倉地区の製銑製鋼工程は廃止され、小倉向けブルーム・ビレットは2019年に戸畑に新設したブルーム連鋳から供給する形に変更されている。新設ブルーム連鋳は、八幡地区向けをも統合した設備であるため、熱塊カバー台車に積載されくろがね線で八幡地区に移送されるブルーム(おもに軌条用)についても、同じ連鋳から発送されていると思われる。
こちらは同じ編成内に連結されていた同タイプの別車両。- 形 式 : 90B-5
- 記号番号: カタ9760
- 編成番号: Z2
- 自 重 : 98.4t
- 荷 重 : 90t
- 車軸配置: 2+2-2+2
- 製造年 : 2019年8月
- 製造者 : 日鉄物流
台枠の厚みは、従来の90t積み台車 のものより薄くなっているようで、その成果か自重も5~8t前後軽くなっている。
こちらは従来型90t積み熱塊カバー台車の予備車「ヨビ」編成である(→以前の記事はこちらを参照)。本記事で紹介した新型熱塊カバー台車は、2020年に夕方の走行シーンを見かけたことはあったが、今回初めて停止した車両をゆっくり実見することができたのは幸運であった。
記事作成2021年9月9日
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