2024/04/16

◆伊豆急行◆アント・マニ50形・100系電車(2020)

  2019年7月7日をもって引退した伊豆急行100系電車103号が、伊豆急下田に留置されているとの情報を得て、12年ぶりに伊豆急を日帰り訪問しました。伊東で途中下車し、伊豆急線内1日乗り放題の「伊豆満喫フリーきっぷ」を購入します。伊東-伊豆急下田間は単純往復でも¥3,300-のところ、途中下車可能で¥1,900-で済みますし、社線内は185系特急踊り子号の普通車自由席に何回でも乗れますから、断然お得です。

伊豆高原で途中下車すると、北海道で運行予定のロイヤルエクスプレス仕様のリゾート21と、金目鯛をイメージしたキンメ電車、そして東急8000系をイメージした無塗装の8000系電車TA-7編成が並んでいました。

TA-7編成の下田寄り先頭車は、クモハ8152。元東急8000系?にしては、急行灯が無かったり、裾にステップも無いし、貫通扉の取り付け部分にも違和感を感じます。

本来、8000系はこのクモハ8005のような形態のはずですが…。実はクモハ8152は元8000系ではなく、伊豆急への譲渡車で唯一の元8500系で、顔つきがおかしいのは、中間車デハ8700形8723号車に運転台ユニットを接合したためです。この先頭車化改造自体も、もともと伊豆急に譲渡するために実施したわけではなく、10両貫通編成の多い8500系を地方私鉄に譲渡するケースで多発するであろう運転台取り付け改造を、長津田工場で先行試験的に施したものです。数年のあいだ工場内や検車区に保管していましたが、伊豆急への譲渡車に選定され、細部を再改造されています。

8500系を伊豆急色にすると、本来はこうなります。今月で引退するとされている伊豆急カラーラッピングの8614編成。8000系との違いは、高運転台で前面窓の天地方向の幅が短く、行先表示器の面積は逆に広い点です。急行灯も運行番号表示器と一体化しています。
さて8000系の話はこのくらいにして、車庫を俯瞰してみましょう。裏手の出入口にある表記を見ると、伊豆高原にある車両工場の正式名称は「検修工場」です。検修工場内の車両入換には、アント車両移動機を使用しています。

箱形の全閉型ではなく、キャビンのみ密閉されエンジン部は屋外にあり屋根の付いたタイプです。
185系踊り子号の窓は開閉するので、帰りに車内からロイヤルエクスプレスをバックにアントを撮影。

下田寄りの側線末端部には、ロイヤルエクスプレスを北海道で運行する際の補助電源供給用電源車となる予定の、元JR東日本マニ50 2186が留置されていました。


終点下田に着くと、めあての100系電車103号車が側線の一番西寄りに留置されていました。8000系との並び。

やや錆び始めていますが、元のデザインが秀逸なので魅力は衰えていません。

沿道から形式写真も撮れました。
東芝製の主制御器。発電ブレーキ、抑速ブレーキに対応しています。100系のシステムは、急行伊豆として伊豆急にも直通していた国鉄153系電車に抑速ブレーキを付加した仕様、と形容されることがありますが、車両史的にも技術的にもこれはあまり正確ではないと思っています。カルダン駆動はともかく、ブレーキに関してはどちらかというと国鉄70系・80系電車(中継弁付き電磁自動空気ブレーキ)に抑速発電ブレーキを付加した、というのが実態に近いのではないでしょうか。元々、100系電車が登場した当時に伊東線で運用されていたのは70・80系電車で、直通先に仕様を合わせたわけです。伊東線の普通列車が、153系と同じ発電ブレーキ併用電磁直通ブレーキの113系に置き替えられると、1982年以降、100系も全車両が電磁自動空気ブレーキから電磁直通ブレーキに改造されていきましたが、それ以前の1981年10月ダイヤ改正の時点で、すでに急行伊豆はすべて特急踊り子に格上げされ消滅しており、153系は185系に置き替えられていました。したがって、国鉄153系と伊豆急100系、どちらもが同時期に電磁直通ブレーキを使用して伊東線・伊豆急線内を走行していたことはなかったはずです。
台車は東急車輛製造製TS316A。枕ばね側のオイルダンパーで衝撃を吸収するタイプでしょうか、軸ばねが固そうです。
伊東寄り。こちらが前位側で、ジャンパ連結器やジャンパ栓収めを装備しています。


1M方式の20m車で、両運転台のクモハで、冷房装置を積んで、自重36.0tですから、意外と軽いですね。やはり軽量車体の設計・製造では一目置かれている東急車輛製造製だけのことはあります。昭和36年製造。

伊豆半島は1980年代までは家族旅行でよく訪ねていたこともあり、100系と185系や251系の並びは何度も見てきましたが、今回、サフィール踊り子E261系、伊豆急8000系との並びを初めて見ることができました。

2011年に復活した100系は、今度こそ本当に引退してしまいますが、東急8000系TA-7編成が銀色になったので、また来てみたいですね。

●おまけ

 伊東線来宮駅には、長物車で運ばれてきたレールを卸すための保守基地があります。レールは、門型クレーンを備えた側線で卸されます。

レール輸送の臨時工事列車は、所管となる横浜支社の拠点駅・東高島から伊東まで行って機回しをして、来宮で熱海寄りに引き上げてからEL推進で電化された側線に向かいます。押し込まれたチキ車は、保守基地にいる軌道モータカーで荷卸し側線まで入換を行います。この日は、荷卸しを終えたチキ5200形4車(5341+5306+5316+5221)が留置されていました。

 

軌道モータカーは、銘板をホーム側に向けて停車していたので、以下の通り判明しました。

新潟トランシス 軌道モータカー

  • 形  式:TMC400B
  • 製造年月:2017年(平成29年)9月
  • NO.150

TMC400Bは途中でモデルチェンジして、最近のは上のようにボンネットにもキャブ前面にも傾斜の無いタイプになりました。最近のニイガタの軌道モータカーは、製造番号という表記をやめて単にNO.としていますね。

記事作成2020年6月27日

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